「この子たち、全員同じ顔…?」
Audibleで人気の児童文学「四つ子ぐらし」を初めて聴いたとき、思わず息を呑んだ。別々の環境で育った四つ子姉妹が再会し、共同生活を始める瞬間——。その場面で一人の朗読家が、四人の少女たちの声を見事に使い分けていたからだ。
驚くべきことに、10人以上のキャラクターすべてを演じ分けているのは、たった一人の女性、岸本愛さんである。
声で描く多彩な世界
「キャラクターの声を考えるとき、その人の生い立ちや性格、心の動きを想像しています」
先日都内のカフェで行われた朗読イベント後、朗読家・岸本愛さんはそう語った。プロダクション・エースに所属する彼女は、オーディオブック界で静かなブームを起こしている朗読家だ。
とりわけ注目を集めているのが「四つ子ぐらし」シリーズの朗読だろう。日向ひまり氏による児童文学をAudibleで聴くと、岸本さんの声色の豊かさに驚かされる。しっかり者の長女・一花、明るく活発な次女・二鳥、控えめで優しい主人公の三女・三風、そして物静かで知的な四女・四月——。それぞれの個性が、声だけで鮮やかに浮かび上がってくるのだ。
「私も四姉妹それぞれに共感する部分があって。特に三風ちゃんの、新しい環境に戸惑いながらも前向きに生きようとする姿には、何度も胸が熱くなりました」と岸本さん。実際に彼女の朗読を聴くと、キャラクターへの深い愛情が伝わってくる。
聴き手を魅了する魔法
小学校教諭の村上さん(仮名・42歳)は、クラスでオーディオブックを活用している一人だ。
「子どもたちが『四つ子ぐらし』を聴いた後、教室の本棚にある原作本が取り合いになりました」と村上さんは笑う。「岸本さんの朗読は、登場人物の感情の機微まで表現できていて、子どもたちの想像力を刺激するんです」
実際、Audibleのレビュー欄には、「キャラクターそれぞれの個性が声だけで伝わってくる」「まるで物語の中にいるような臨場感」といった絶賛の声が並ぶ。
物語の魅力を引き出す技術
「四つ子ぐらし」の第一巻「秘密の姉妹生活、はじまる!」は、施設育ちの三風が「中学生自立練習計画」に参加し、そこで自分と同じ顔を持つ三人の少女と出会うところから始まる。彼女たちは実は四つ子の姉妹だったのだ。
この作品の中でも特に印象的なのは、姉妹が家事分担を決めるシーン。最初は戸惑いながらも、次第にお互いの得意・不得意を活かして協力し合っていく姿が、岸本さんの繊細な声の表現によって、より感動的に伝わってくる。
「声だけで物語を表現するのは、とても難しいことなんです」と語るのは、音声コンテンツ制作会社ディレクターの佐藤氏。「朗読家・岸本愛さんの凄さは、キャラクターの感情だけでなく、物語の『間』や空気感まで声で表現できる点です」
広がる活躍の場
岸本さんは「四つ子ぐらし」以外にも、「虚構の家」シリーズや「天才発明家ニコ&キャット」シリーズなど、多くの作品で朗読を担当。また、映画「レプタイル-蜥蜴-」の吹き替えや、日本テレビ「世界一受けたい授業」でのボイスオーバーなど、活躍の場を広げている。
「朗読は、文字だけでは伝わりきらない感情や情景を、声で補完できる素晴らしい表現方法です」と岸本さん。「これからも多くの作品に命を吹き込んでいきたい」と、真摯な眼差しで語った。
体験してみたい朗読の世界
Audibleでは「四つ子ぐらし」シリーズをはじめ、岸本さんが朗読を担当する作品が多数配信されている。会員なら定額で聴き放題なので、まだ体験したことがない人は、ぜひ一度耳を傾けてみてはいかがだろうか。
朗読家・岸本愛さんの声が紡ぎ出す物語の世界は、きっと新しい読書体験をもたらしてくれるはずだ。
(取材・文/伊藤 みく)
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