米が安い。本当に安い。
昨日スーパーに行ったら、いつも買っている新潟コシヒカリ5キロが3,500円台まで下がっていた。レジのおばちゃんも「最近みんなお米買わなくなったのよね」なんて言っている。
私は桜田泰憲、60歳。石油関係の現場をを30年やってきて、今はwebライターをしている。数字を見るのは嫌いじゃない。むしろ好きだ。だからこの米価の動きは、ただの偶然じゃないと思っている。
この記事を読んでわかる事
- なぜ今お米がこんなに安いのか
- いつまでこの安さが続くのか
- 今買っておくべき理由
- 実際に試して分かった賢い買い方
農水省のデータを見て驚いた
webライターになってから、農林水産省のホームページをよく見るようになった。「米の相対取引価格」という統計がある。これが面白い。
2025年に入ってから、精米5キロの平均価格がずっと下がり続けている。7月現在で3,602円。去年の同じ時期と比べると、だいたい500円くらい安い。
なぜか?
一番大きいのは外食産業の変化だ。コロナで飲食店が大打撃を受けたのは皆さんご存知の通り。でも意外だったのは、その影響がまだ続いていることだ。
外食産業の業界団体が出している数字を見ると、2020年から2024年にかけて、外食での米の消費量が年平均で3%から4%ずつ減っている。累積すると15%くらいの減少だ。
居酒屋チェーンの知り合いに聞いたら、「シメのご飯を注文する客が本当に減った」と言っていた。みんなパンを食べているのかもしれない。
それから在庫の問題。これは深刻だ。
農水省の「基本指針」という資料があるんだが、そこに書いてあった数字に驚いた。2025年3月末時点で、民間の米在庫が189万トン。前の年と比べて8.2%も多い。
作ったけど売れない米が、倉庫にどんどん積まれている状況だ。
実際に色々な買い方を試してみた
理屈ばかりじゃ意味がないので、実際に購入方法を比較してみた。
近所のスーパーの特売:3,580円(新潟コシヒカリ5kg) 楽天で注文:3,520円+送料330円=3,850円 ふるさと納税:南魚沼市、15,000円の寄附で5kg×3袋 農協の直売所:3,450円+送料300円=3,750円
ふるさと納税が圧倒的にお得だった。私の所得だと実質負担は2,000円。つまり15kg で2,000円。1袋あたり約670円の計算になる。
ただし、一度に15kg届くので保管が大変。うちの冷蔵庫の野菜室がお米だらけになってしまった。妻に怒られた。
保存で失敗した話
実は3年前、30kgをまとめ買いして大失敗したことがある。
8月の暑い時期だった。玄関近くの物置に置いておいたら、1ヶ月後に虫がわいていた。コクゾウムシという小さな黒い虫だ。袋を開けたときの絶望感は今でも覚えている。
それ以来、保存には気を使っている。
農研機構という国の研究機関のサイトに、米の保存方法が詳しく書いてある。15度以下、湿度65%以下で密閉保存すれば、半年は品質を保てるらしい。
今は5kg入りの真空パック米を買って、冷暗所に保管している。開封したら密閉容器に移して、防虫剤も入れる。
これで2年間、虫害ゼロだ。
北海道米の躍進が嬉しい
私は北海道の羅臼町出身だ。昔は「北海道の米はまずい」と言われていた。それが今や、ゆめぴりかやななつぼしが全国的に人気になっている。
日本穀物検定協会という団体が毎年「食味ランキング」を発表している。2024年度版を見ると、北海道米が上位に複数ランクインしていた。
ゆめぴりかの価格は5kg で3,544円。去年より3.8%安くなっている。故郷のお米がこんなに評価されて、しかも安く買えるなんて、複雑な気持ちだ。
実家の近所でも稲作をやめる農家が増えている。高齢化と後継者不足。これは全国共通の問題だろう。
今後の見通しが気になる
システムエンジニア時代に身についた習慣で、将来予測を立てるのが好きだ。
農林水産政策研究所という機関が「中長期見通し」を発表している。それによると、2026年以降は徐々に価格が上がってくる可能性が高いらしい。
理由は2つ。
1つ目は在庫の調整。今は余っているが、いずれ適正水準に戻る。 2つ目は農業従事者の減少。年々作る人が減っているので、長期的には供給不足になる。
気候変動の影響も心配だ。今年は異常に暑い日が続いている。お米の品質に影響が出るかもしれない。
だから今が買い時だと思う。
実際の節約効果を計算してみた
我が家では月に5kg消費する。年間60kg だ。
従来価格4,000円から現在価格3,600円に下がったので、1袋あたり400円の節約。年間では4,800円安くなった。
ふるさと納税を活用すれば、もっと節約できる。実質負担2,000円で15kg手に入るので、年間で約13,000円の食費削減になる。
浮いたお金で、たまには美味しいおかずを買える。
農家の人たちが心配
webライターの仕事で、時々農業関係の記事を書く。取材で農家の方と話すと、本当に大変そうだ。
「作れば作るほど赤字になる」 「息子には継がせたくない」
こんな声をよく聞く。
私たち消費者にとって米が安いのは嬉しいが、作る人がいなくなったら元も子もない。
だから少しでも農家を応援したいと思って、ふるさと納税で地方の米を選んでいる。直接現金が行くわけじゃないが、少しは役に立つだろう。
結論:今こそ米を見直そう
60年生きてきて思うのは、食べ物の値段というのは社会の変化を映す鏡だということ。
今の米価下落は、日本人の食生活が変わっている証拠でもある。パン、麺類、外食の増加。米離れが進んでいる。
でも主食としての米の価値は変わらない。栄養バランス、腹持ちの良さ、日本の風土に合った作物。これらは昔から変わっていない。
今の安さは一時的なものだ。いずれ価格は上がる。だから今のうちに、賢く買って、適切に保存して、家計を守りたい。
そして可能な範囲で農家を支援する。それが巡り巡って、私たちの食の安全につながると信じている。
この記事を読んで分かったことと考えるべきこと
- 米価下落は外食需要減と在庫過多が主因
- 今の安さは一時的で、将来的には価格上昇の可能性
- ふるさと納税活用で大幅な食費削減が可能
- 農家支援の視点も忘れずに購入判断を
この記事が、皆さんの食費節約と食の安全確保の参考になれば幸いです。
筆:桜田 泰憲