60歳の僕が震えた「AI社会の現実」:あの日、世界が変わった瞬間

夜の都会を背景に、年配の男性と人型AIロボットがテーブル越しに向かい合って会話をしている。周囲にはホログラム風のデジタルグラフが表示され、未来的な雰囲気。

はじめに – あの日、私の世界が変わった

先日、会社の若い同僚が「桜田さん、これ見てください!」と駆け寄ってきた。画面には、たった8秒の動画が流れている。風景写真から自動生成された、まるで映画のような映像だった。

GoogleのVeo 3っていう技術なんです。写真一枚あれば動画が作れちゃうんですよ!

正直、言葉が出なかった。システムエンジニアとして30年以上働いてきた私でも、これほどの衝撃を受けたことはない。2025年7月の今、AIは完全に次元の違う存在になってしまった。

Google Veo 3の詳細情報技術解説記事によると、Veo 3は2025年5月に発表された最新の動画生成AIで、写真一枚から8秒間の音声付き動画を生成できる革新的な技術です。

Claudeとの初対面 – これは本物のパートナーだ

男性が真剣な表情で女性と向き合って話しているシーン。「Claude」と「Claude hove mesting」という字幕が表示されている。
クロードという男性が女性と向き合い、静かな会話をしている印象的なシーンです。画面下には字幕が表示されています。AIが描いたイメージです。

まずはClaudeのIntegrationsを試してみませんか?

同僚のmiku(みく)がそう提案してきたのは、5月のことだ。彼女は全国を飛び回って最新のAI事情を取材している、社内でも評判のレポーターだ。

AnthropicがClaudeのIntegrations機能を5月2日に正式発表したという話を聞いて、正直なところ、最初は半信半疑だった。「またAIの宣伝か」という気持ちもあった。しかし、実際にNotionと連携させてプロジェクト管理をやらせてみると、これまでのAIとは明らかに違った。

何が違うかって?Claudeは私の仕事の流れを理解している。単発の作業ではなく、「次に何をすべきか」「全体最適のためには何が必要か」を判断して提案してくる。30年のエンジニア経験で培った直感だが、これは本物だ。

ChatGPTとの決定的な違いは、MCPプロトコルによる「状況把握型AI」としての能力にある。私がシステム設計で最も重視する「全体最適」を、AIが理解してくれる時代になったのだ。

LINEヤフーの衝撃決断 – これが新常識だ

全社員1.1万人にChatGPT Enterprise支給

このニュースを聞いたとき、正直「やりすぎじゃないか?」と思った。しかし、詳細を調べてみると、これは単なる話題作りではない。本気の変革だった。

「まずAIに聞く」「ゼロベースで資料を作らない」「議事録はAI作成」

これらのルールを義務化し、eラーニングでプロンプト研修まで実施している。私たちのような中小企業には真似できない規模だが、考え方は参考になる。

実際、我が社でも社内文書テンプレートをClaudeに作らせてみたところ、これまで各部署でバラバラだった書式が統一された。書類作成の属人化という、長年の課題が一気に解決したのだ。

孫正義の野望 – 本当に実現可能なのか?

AIエージェント10億体計画

ソフトバンクの孫正義氏がぶち上げたこの構想には、正直面食らった。社員1人に1000体のAI、年間コスト450円で人間の1万6000分の1の費用で4倍の生産性

数字だけ見ると荒唐無稽に思える。しかし、私が実際にClaudeやChatGPTを使ってみた実感から言うと、あながち不可能ではない。

「AIがAIを増殖・進化させる時代が始まった」

孫氏のこの発言は、プログラマーとしての私には特に印象深い。確かに、ノーコード社会の実現は、もう目の前まで来ている。私が若い頃に必死に覚えたプログラミング言語も、いずれ不要になるのかもしれない。

故郷を思う – 地方創生の新たな可能性

私の故郷は北海道の羅臼町だ。人口減少と高齢化が深刻で、若者は次々と本州へ出て行く。そんな町でも、AIが希望の光になるかもしれない。

地域おこし協力隊がAIを活用して一人で複数業務をこなしている事例を見ると、可能性を感じずにはいられない。事業計画から動画編集まで、AIがあれば本当に可能なのだ。

実際の成功例もある:

福井県鯖江市 – 議会答弁要約にAIチャットボット導入
岐阜県高山市 – 観光案内にChatGPT実装

これらの自治体は、住民サービスの質向上と行政コスト削減を両立させている。羅臼町でも、ぜひ検討してもらいたい。

Gmailの進化 – 高齢者を救う小さな親切(ただし日本はまだ)

「Manage subscriptions」

Gmailの新機能の名前だが、60歳の私には特にありがたい機能だ。購読中のメルマガが一覧で表示され、ワンクリックで解除できる。

ただし、残念ながら現時点では日本ではまだ利用できない7月8日から一部の国と地域で提供開始されたが、日本は第1弾に含まれていないのだ。

実は私、不要なメルマガの解除方法がわからず、長年受信し続けていたものがいくつもある。この機能が日本でも使えるようになれば、ようやくスッキリできそうだ。

Googleの発表によると、AIで詐欺メールを35%削減しているという。特に高齢者や私のようなデジタル苦手組には、この機能が日本でも早く展開されることを願っている。

見えない罠 – ダークパターンとの戦い

「閉じられない広告」「不透明なサブスク契約」

私も何度か騙されそうになった経験がある。一般社団法人ダークパターン対策協会のNDD認定制度は、消費者を守る重要な取り組みだ。

2025年秋に公開予定の「子どもと高齢者向け解説動画」にも期待している。5つのダークパターン事例を図解でまとめた資料は、ぜひ多くの人に見てもらいたい。

ACジャパンの警鐘 – 今こそ必要なメッセージ

フェイクはホンモノみたいな顔をする

ACジャパンの2025年度全国広告のキャッチコピーだが、これほど的確な表現はない。フェイクニュースや誹謗中傷が横行する今、この警鐘は多くの人に届いてほしい。

字幕・手話対応のユニバーサルデザインも素晴らしい。情報格差を生まない配慮は、AI時代にこそ重要だ。

困った表情の男の子のイラストとともに、「フェイクはホンモノみたいな顔をする」「偽物を見分けるのはとても難しいです!」というメッセージ、信頼できる情報源の確認や複数情報の比較、専門家への相談を促す注意事項が書かれている。
フェイク情報に惑わされないための注意点を分かりやすくイラストでまとめた画像です。信頼できる情報源の確認や、複数の情報を比較すること、専門家への相談の重要性を訴えています。AIが描いたイメージです。

教育の未来 – 親子で学ぶAI時代

東京大学の「メタバース工学部ジュニア講座」で、生成AIを親子で学べる無料講座が始まった。将来、私の孫にも受講させたいと思っている。

京都芸術大学の2026年完全オンライン音楽コース開設も興味深い。秋元康氏らが講師を務めるというから本格的だ。

私のような地方出身者には、こうした機会は本当にありがたい。物理的な距離の制約を、AIとオンライン技術が取り払ってくれる。

信頼回復への道 – AI監視システムの可能性

オンライン予約サイト「アゴダ」のトラブル続出問題で、AIによるリアルタイム予約監視システムが導入された。不正業者の事前除外や、カスタマー対応の自動化で信頼性回復を図っている。

私も海外旅行で予約トラブルに遭った経験があるだけに、この取り組みは評価したい。技術は人を騙すためではなく、騙されないために使うべきだ。

おわりに – 60歳の私が見たAI社会の現実

30年以上システム開発に携わってきた私が断言する。AIはもはや「特別なもの」ではない。「仕事を共にする存在」として、私たちの日常に完全に溶け込んでいる。

しかし同時に、フェイク・詐欺・格差といった新たな課題も生まれている。私たちは技術を使いこなすリテラシーと倫理観を育みながら、恐れずに変化と向き合わなければならない。

60歳の私でもAIとパートナーシップを築けている。年齢や職業、住む場所に関係なく、誰もがAI時代の主役になれる。

それが、私がこのコラムで最も伝えたかったメッセージだ。変化を恐れず、好奇心を持って新しい技術と向き合おう。そこには、きっと新しい可能性が待っている。

プロフィール
桜田泰憲(さくらだ・やすのり)

https://reviewworld.jp/news2025/yasu/

【2025年最新】お米が安い今、私たちはどう動くべきか?米価下落の真因と家計防衛術

米が安い。本当に安い。

昨日スーパーに行ったら、いつも買っている新潟コシヒカリ5キロが3,500円台まで下がっていた。レジのおばちゃんも「最近みんなお米買わなくなったのよね」なんて言っている。

私は桜田泰憲、60歳。石油関係の現場をを30年やってきて、今はwebライターをしている。数字を見るのは嫌いじゃない。むしろ好きだ。だからこの米価の動きは、ただの偶然じゃないと思っている。

この記事を読んでわかる事

  • なぜ今お米がこんなに安いのか
  • いつまでこの安さが続くのか
  • 今買っておくべき理由
  • 実際に試して分かった賢い買い方

農水省のデータを見て驚いた

webライターになってから、農林水産省のホームページをよく見るようになった。「米の相対取引価格」という統計がある。これが面白い。

2025年に入ってから、精米5キロの平均価格がずっと下がり続けている。7月現在で3,602円。去年の同じ時期と比べると、だいたい500円くらい安い。

なぜか?

一番大きいのは外食産業の変化だ。コロナで飲食店が大打撃を受けたのは皆さんご存知の通り。でも意外だったのは、その影響がまだ続いていることだ。

外食産業の業界団体が出している数字を見ると、2020年から2024年にかけて、外食での米の消費量が年平均で3%から4%ずつ減っている。累積すると15%くらいの減少だ。

居酒屋チェーンの知り合いに聞いたら、「シメのご飯を注文する客が本当に減った」と言っていた。みんなパンを食べているのかもしれない。

それから在庫の問題。これは深刻だ。

農水省の「基本指針」という資料があるんだが、そこに書いてあった数字に驚いた。2025年3月末時点で、民間の米在庫が189万トン。前の年と比べて8.2%も多い。

作ったけど売れない米が、倉庫にどんどん積まれている状況だ。

実際に色々な買い方を試してみた

理屈ばかりじゃ意味がないので、実際に購入方法を比較してみた。

近所のスーパーの特売:3,580円(新潟コシヒカリ5kg) 楽天で注文:3,520円+送料330円=3,850円 ふるさと納税:南魚沼市、15,000円の寄附で5kg×3袋 農協の直売所:3,450円+送料300円=3,750円

ふるさと納税が圧倒的にお得だった。私の所得だと実質負担は2,000円。つまり15kg で2,000円。1袋あたり約670円の計算になる。

ただし、一度に15kg届くので保管が大変。うちの冷蔵庫の野菜室がお米だらけになってしまった。妻に怒られた。

保存で失敗した話

実は3年前、30kgをまとめ買いして大失敗したことがある。

8月の暑い時期だった。玄関近くの物置に置いておいたら、1ヶ月後に虫がわいていた。コクゾウムシという小さな黒い虫だ。袋を開けたときの絶望感は今でも覚えている。

それ以来、保存には気を使っている。

農研機構という国の研究機関のサイトに、米の保存方法が詳しく書いてある。15度以下、湿度65%以下で密閉保存すれば、半年は品質を保てるらしい。

今は5kg入りの真空パック米を買って、冷暗所に保管している。開封したら密閉容器に移して、防虫剤も入れる。

これで2年間、虫害ゼロだ。

北海道米の躍進が嬉しい

私は北海道の羅臼町出身だ。昔は「北海道の米はまずい」と言われていた。それが今や、ゆめぴりかやななつぼしが全国的に人気になっている。

日本穀物検定協会という団体が毎年「食味ランキング」を発表している。2024年度版を見ると、北海道米が上位に複数ランクインしていた。

ゆめぴりかの価格は5kg で3,544円。去年より3.8%安くなっている。故郷のお米がこんなに評価されて、しかも安く買えるなんて、複雑な気持ちだ。

実家の近所でも稲作をやめる農家が増えている。高齢化と後継者不足。これは全国共通の問題だろう。

今後の見通しが気になる

システムエンジニア時代に身についた習慣で、将来予測を立てるのが好きだ。

農林水産政策研究所という機関が「中長期見通し」を発表している。それによると、2026年以降は徐々に価格が上がってくる可能性が高いらしい。

理由は2つ。

1つ目は在庫の調整。今は余っているが、いずれ適正水準に戻る。 2つ目は農業従事者の減少。年々作る人が減っているので、長期的には供給不足になる。

気候変動の影響も心配だ。今年は異常に暑い日が続いている。お米の品質に影響が出るかもしれない。

だから今が買い時だと思う。

実際の節約効果を計算してみた

我が家では月に5kg消費する。年間60kg だ。

従来価格4,000円から現在価格3,600円に下がったので、1袋あたり400円の節約。年間では4,800円安くなった。

ふるさと納税を活用すれば、もっと節約できる。実質負担2,000円で15kg手に入るので、年間で約13,000円の食費削減になる。

浮いたお金で、たまには美味しいおかずを買える。

農家の人たちが心配

webライターの仕事で、時々農業関係の記事を書く。取材で農家の方と話すと、本当に大変そうだ。

「作れば作るほど赤字になる」 「息子には継がせたくない」

こんな声をよく聞く。

私たち消費者にとって米が安いのは嬉しいが、作る人がいなくなったら元も子もない。

だから少しでも農家を応援したいと思って、ふるさと納税で地方の米を選んでいる。直接現金が行くわけじゃないが、少しは役に立つだろう。

結論:今こそ米を見直そう

60年生きてきて思うのは、食べ物の値段というのは社会の変化を映す鏡だということ。

今の米価下落は、日本人の食生活が変わっている証拠でもある。パン、麺類、外食の増加。米離れが進んでいる。

でも主食としての米の価値は変わらない。栄養バランス、腹持ちの良さ、日本の風土に合った作物。これらは昔から変わっていない。

今の安さは一時的なものだ。いずれ価格は上がる。だから今のうちに、賢く買って、適切に保存して、家計を守りたい。

そして可能な範囲で農家を支援する。それが巡り巡って、私たちの食の安全につながると信じている。

この記事を読んで分かったことと考えるべきこと

  • 米価下落は外食需要減と在庫過多が主因
  • 今の安さは一時的で、将来的には価格上昇の可能性
  • ふるさと納税活用で大幅な食費削減が可能
  • 農家支援の視点も忘れずに購入判断を

この記事が、皆さんの食費節約と食の安全確保の参考になれば幸いです。

筆:桜田 泰憲

さよなら郵便ポスト──デンマークが描く“紙のない社会”の衝撃

~PostNordの決断と、世界最先端のデジタル行政~

私は桜田泰憲。60歳の新規IT企業のシステムエンジニアで、webライターとして5年ほど活動している。今回、デンマークの郵便制度廃止について書くことになったのは、正直なところ「本当にそんなことができるのか?」という疑問からだった。

石油関係の会社で現場担当として30年以上働いてきた私には、「制度を根本から変える」ことの難しさが身に染みている。それなのに、デンマークという国は2025年末までに全国の郵便ポストを撤去し、紙の郵便を完全に廃止するという。北海道の田舎で育った私からすれば、これは革命的というより「本当に大丈夫なのか?」と心配になる話だった。

この記事を読んでわかること

  • デンマークが郵便制度を廃止する具体的な理由と背景
  • Digital Postという電子通知システムの実際の仕組み
  • 郵便廃止がもたらすメリットと課題の両面
  • 日本のデジタル化にとっての教訓

なぜデンマークは郵便ポストを全て撤去するのか

2024年、デンマーク政府と国営郵便事業者PostNordが発表した内容を見て、私は最初「データの見間違いではないか」と思った。全国約1500か所の郵便ポストを全撤去するという話があまりにも現実離れしていたからだ。

しかし調べてみると、この決定には明確な根拠があった。PostNordが公表したデータによると、郵便利用量は2000年以降90%以上も減少している。24年間でここまで劇的な変化が起きるとは、システム開発の現場で技術革新を見てきた私でも予想していなかった。

私が北海道にいた頃、郵便局は地域の重要な拠点だった。年賀状や手紙のやりとりは日常的で、郵便ポストがなくなるなんて考えもしなかった。しかし、デンマーク国民の高いデジタルリテラシーと政府主導のインフラ整備が、この変化を可能にしている。

「デジタルポスト」制度の実際の仕組み

ここで重要なのは、デンマークが単に郵便を廃止したわけではなく、代替システムを完璧に構築したことだ。2012年に法制化され、2014年に義務化された「Digital Post」は、15歳以上の全住民に政府発行のデジタルID(MitID)を使った電子通知の受信を義務づけている。

システムエンジニアの目で見ると、これは理想的な統合プラットフォームだ。税務署、病院、学校、年金など全ての行政機関が同じシステムで通知を送信し、国民は専用アプリで即時確認、返信、納税まで完了できる。通知履歴は全て暗号化され、改ざんは不可能だ。

例えば、税通知をスマホで受け取り、数タップで納税を完了する。健康診断の結果も同様にデジタルで確認する。私たちが慣れ親しんだ「封筒を開けて、書類を読んで、銀行に行って支払う」という一連の作業が、全てスマホで完結するのだ。

これは単なる効率化ではない。社会のコミュニケーション方法そのものを変える革命だと感じる。

PostNordの決断が意味すること

PostNordは2025年末をもって書状配達事業を完全終了し、以下の改革を実施する。

項目内容
郵便ポストの撤去約1500か所を順次撤去(2024~2025年)
配達スタッフの再編約1500人削減(700人は宅配部門に転属)
ユニバーサルサービス義務(USO)撤廃し民間競争に開放

特に注目すべきは、ユニバーサルサービス義務の撤廃だ。これまで「全国民が等しく郵便サービスを受けられる」ことを保証していた制度をやめ、完全に民間競争に委ねるということだ。

私はこれまで「公共サービスは国が責任を持つべき」と考えてきた。しかし、デンマークの決断を見ていると、「公共サービスの定義そのものが変わってきている」ことを実感する。デジタルインフラを公共サービスとして提供し、物理的な配達は民間に任せる。この発想の転換は、日本でも参考になるはずだ。

郵便廃止で得られるメリットは本物か

この改革によるメリットを冷静に分析してみた。

まず機能的なメリットとして、配達人件費・燃料費・用紙費の大幅削減がある。行政手続きのスピードと透明性も向上し、セキュリティも強化される。フィッシング詐欺のような偽装も難しくなる。

環境面では、年間数千トンのCO2削減効果がある。紙資源の削減、印刷・封入作業の撤廃による効果は無視できない。

しかし私が最も興味深いと感じたのは、社会的・心理的なメリットだ。情報を確実に受け取れる安心感、「先進国に暮らしている」という誇り、DX人材へのモチベーション向上。これらは数値化しにくいが、社会全体の士気に大きく影響する。

ただし、これらのメリットは全ての人が享受できるわけではない。そこに大きな課題がある。

残された深刻な課題

正直に言うと、この制度には不安もある。デンマークでは高齢者の約30%がスマホを持っていない。地方ではインフラが未整備の地域もある。「情報漏洩」や「操作不安」を感じる人も多いだろう。

対策として代理人制度や紙通知の一時許可も導入されているが、完全な包摂とは言い切れない。私の母親のことを考えても、80歳を超えてからスマホで行政手続きをするのは現実的ではない。

この問題は技術的な解決だけでは限界がある。社会全体でのサポート体制や、デジタル教育の充実が不可欠だ。

他国との比較で見えてくること

欧州主要国の動向を比較してみると、デンマークの先進性がよく分かる。

国名郵便サービス動向備考
デンマーク書状配達完全終了へDigital Post制度法制化済
ドイツ配達頻度週2回に移行中8000人規模で人員削減
イギリス一部有料化・労組対立中公共サービス再編中
スウェーデン週1~2回配達に縮小市場原理導入段階
日本紙通知が主流のままマイナンバー統合途上

デンマークでは現在、約520万人の市民がDigital Postに登録し、約29万人が免除対象となっている。この高い登録率が、郵便制度廃止を可能にしている大きな要因だ。

日本への教訓──我々は何を学ぶべきか

デンマークの事例から、日本が学ぶべきことは多い。しかし、同じ方法をそのまま導入すれば良いというものではない。

政策的に必要な対応として、以下の4点が挙げられる。

  1. マイナンバーと行政通知の完全連携
  2. 高齢者向け紙通知の明文化
  3. 郵便サービスの競争開放と多様化
  4. 自治体間でのデジタル実装支援

特に重要なのは、急激な変化ではなく段階的な移行だ。デンマークのような思い切った決断も必要だが、日本の文化や社会構造を考慮した独自のアプローチが求められる。

私が石油関係の会社でシステム移行を何度も経験してきた中で学んだのは、「技術的に可能なことと、社会的に受け入れられることは別」だということだ。デンマークは両方を同時に達成した稀有な例だが、日本では時間をかけた丁寧な移行が現実的だろう。

郵便ポストが消えた国から見える未来

デンマークの郵便制度廃止は、単なる効率化ではない。これは社会契約の再設計であり、行政と市民の関係の進化を意味している。

私たちは今、歴史的な転換点にいる。紙の時代の終焉は、次の社会の始まりでもある。デンマークの先進事例から学び取れることは多いが、同時に日本独自の道筋を見つける必要がある。

60歳になった私から見ても、この変化は避けられない。問題は、いかに全ての人が取り残されずに済むかということだ。技術の進歩に人間が合わせるのではなく、人間のための技術として活用していく。それが私たちの課題だと思う。

この記事を読んで分かったことと考えるべきこと

  • デンマークの郵便廃止は数値的根拠に基づく合理的判断であること
  • デジタル化は単なる効率化ではなく社会構造の変革であること
  • 先進事例を学びつつも、各国の文化に適した独自の方法論が必要であること
  • 技術の恩恵を全ての人が受けられる仕組み作りが最重要課題であること​​​​​​​​​​​​​​​​

#デンマーク #デジタル社会 #郵便制度廃止 #DX #行政改革 #DigitalPost #社会インフラ #未来の暮らし

還暦SEが見た「酪農危機」──北海道の未来は牛乳が握る?

広大な緑の牧草地に牛が放牧され、遠くには雪山と朝日が輝く北海道の風景。中央下部に「酪農危機と北海道の未来」と書かれている。
⚠️ ご注意ください
この記事で登場する人物名は個人のプライバシー保護と安全を確保するために仮名として表示しています。

桜田泰憲です。還暦を過ぎて、何を今さら記事なんて書いているんだと家族には呆れられていますが、どうしても書かずにはいられない。

同僚のmikuが集めてきた酪農関連の資料を見て、正直言って動揺しました。システムエンジニアを40年近くやっていると、データの読み方は身につくものですが、今回ばかりは数字を信じたくなかった。羅臼で生まれ育った私にとって、酪農は単なる産業じゃない。子どもの頃から見てきた風景そのものなんです。


なぜ今、酪農なのか──数字が突きつける現実

mikuの資料を夜中にひっくり返していて、愕然としました。北海道の生乳生産は確かに全国の半分以上を占めているのに、酪農家の数は10年で3割減少。これ、システム障害なら即座に原因究明に入るレベルの異常事態です。

でも酪農は違う。システムダウンしても代替機に切り替えればいいITとは違って、一度失われた酪農地域は二度と戻らない。

羅臼の実家の近所にも牧場がありました。子どもの頃は毎朝、牛の鳴き声で目が覚めたものです。あの牧場、今はもうありません。跡地には太陽光パネルが並んでいる。効率的かもしれませんが、なんだか寂しいんですよ。

酪農って実は地域の「インフラ」なんです。牛乳を作るだけじゃなくて、学校給食、地域雇用、災害時の食料確保、観光資源──全部つながっている。一つ欠けると、ドミノ倒しのように地域全体が傾く。

システムエンジニアの仕事でよく言うんですが、「単一障害点」って概念があります。一箇所壊れただけで全体が止まってしまう危険な設計のこと。地方にとって酪農は、まさにその単一障害点になっているんです。

スマート酪農という希望──でも現実は厳しい

士幌町の取り組みをmikuが調べてくれていました。IoT推進ラボって聞いて、最初は「また行政の横文字か」と思ったんですが、調べてみると本気度が違う。

農業IoT機器「e-kakashi」、GPS付きトラクター、衛星写真による収穫予測。これ、私が昔設計していた工場の生産管理システムと発想が同じです。データを集めて、分析して、最適化する。理にかなっている。

搾乳ロボットなんて、まさに私たちの世界でいう「無人化システム」そのものですよ。24時間稼働、エラー自動検知、個体別データ管理──システム屋から見ると、よくできたシステムです。

でも問題は金です。2500万円から4000万円。うちの会社でサーバーシステム一式導入するときでも、これほどかからない。中小の酪農家にとっては、まさに「清水の舞台から飛び降りる」覚悟が必要な投資額でしょう。

しかも、システムは導入して終わりじゃない。保守費用、アップデート費用、故障時の対応──ランニングコストがバカになりません。ITの世界では「TCO(Total Cost of Ownership)」って言葉がありますが、酪農ロボットのTCOを計算すると、相当な覚悟が必要です。

ただ、士幌町のような先進事例を見ていると、可能性は感じます。データ活用で生産性向上、労働時間削減──これはまさに私たちが40年かけてITでやってきたことの農業版です。

ヘルパー制度の現実──システムとしての素晴らしさ

酪農ヘルパー制度を調べていて、システムエンジニアとして感心しました。これ、ITでいう「冗長化システム」の考え方なんです。

メインサーバーがダウンしたときに備えて、バックアップサーバーを用意しておく。酪農家が休むときに備えて、代替要員を用意しておく。発想は全く同じです。

1日15,000円という料金設定も絶妙です。高すぎず、安すぎず。システム運用の世界でいう「適正価格」の範囲内です。

標津町の事例を見ていると、実際に中標津町から移住してきた日夏萌さんという方が、東京のコンサル業界から酪農ヘルパーに転身されています。これ、地方創生の一つのモデルケースですよね。

私自身、若い頃に羅臼を出たクチですから、こういう「戻ってくる理由」があるのは羨ましい。当時の羅臼には、私のようなシステム屋の仕事なんてありませんでしたから。

でも考えてみると、酪農ヘルパーって「出張SE」みたいなものかもしれません。困っているシステムを助けに行く。技術と経験を活かして、現場の問題を解決する。やりがいはありそうです。

政策の現実──ユーザビリティが最悪すぎる

新規就農者支援制度を調べていて、システム屋として頭を抱えました。機能は充実しているんです。でも使い勝手が最悪。

これ、1990年代の官公庁システムみたいです。画面は複雑、操作手順は煩雑、エラーメッセージは不親切。せっかく予算を組んでも、使う人がいない。

申請書類の煩雑さなんて、まさに「悪いUI設計」の典型例です。必要な情報を入力するのに何時間もかかる。審査に何ヶ月もかかる。これじゃあ、利用者は逃げますよ。

私が設計するなら、ワンストップサービスにします。必要な情報は一度の入力で済むように。進捗状況はリアルタイムで確認できるように。承認プロセスは自動化できる部分は全部自動化する。

でも、これは酪農だけの問題じゃありません。日本の行政システム全体の課題です。デジタル庁ができたから少しは改善されるかもしれませんが、現場レベルでの変化はまだまだ時間がかかりそうです。

若者が帰らない理由──私にも分かる気持ち

十勝の後継者支援策を見ていて、複雑な気持ちになりました。SNSでの情報発信、住宅支援、研修制度──内容は悪くありません。

でも私が若かった頃を思い出すと、地方を出る理由って「将来が見えない」ことだったんです。羅臼にいても、自分の技術を活かせる場所がなかった。IT業界で働きたいなら、どうしても札幌か本州に出るしかなかった。

今の若い酪農家も、似たような気持ちなんじゃないでしょうか。技術は身につけたい、でも将来性に不安がある。地域に残っても、本当に食べていけるのか──

ただ、今は状況が変わってきています。リモートワークが普及して、地方にいてもできる仕事が増えた。IoTやデータ分析なんて、まさに私の専門分野です。こういう技術を酪農に活かせる時代になってきている。

若い人には、もう一度地方の可能性を見直してもらいたいですね。私みたいに60歳になってから「故郷っていいな」と思っても、もう遅いんです。

中標津町の戦略──これは見事だった

「牛乳で乾杯条例」を初めて知ったとき、正直「何それ?」と思いました。でも調べてみると、これは見事なブランド戦略です。

2014年に全国初の条例を制定して、「牛乳で乾杯」を地域文化として定着させる。A2ミルクという新商品を開発して、付加価値を高める。ふるさと納税の返礼品としても活用する。

システム設計でいう「統合的アプローチ」ですね。一つの施策で複数の効果を狙う。効率的です。

中標津町の乳牛飼育頭数は約3万9千頭。これだけの規模があるからこそ、ブランド戦略が成り立つ。小さな町では真似できない手法かもしれません。

でも考え方は参考になります。「地域の特色を活かす」「新しい価値を創造する」「継続的に発信する」──これは地方創生の基本です。

ただ、気になるのは持続性です。条例を作ったのは2014年。もう10年経っています。最初の盛り上がりを維持し続けるのは、実は一番難しいんです。

データが示す冷徹な現実

システムエンジニアを長くやっていると、数字に対してはシビアになります。希望的観測は禁物。データが示す現実を受け入れることから始めないといけません。

士幌町のIoT推進ラボみたいな取り組みは素晴らしいですが、実際の効果測定はどうなっているのか。投資対効果は出ているのか。継続的な改善サイクルは回っているのか。

KPIの設定と測定──これはシステム運用の基本です。生乳生産量、新規就農者数、ブランド売上、IoT活用度。数値目標を設定して、定期的に測定して、改善策を検討する。

でも現実は厳しい数字ばかりです。生乳生産量は減少傾向、後継者数は目標未達、全体的な縮小トレンドは止まらない。

これは「レガシーシステム」の問題と似ています。古いシステムを使い続けているうちに、だんだん時代に合わなくなって、最終的には全面的な刷新が必要になる。

酪農業界も、そういう転換点に来ているのかもしれません。

地方の命綱としての酪農

60年生きてきて、webライターを始めて5年。いろんな業界を見てきましたが、酪農ほど「地域密着型」の産業はありません。

工場は移転できます。オフィスも移転できます。でも牧場は移転できない。土地と気候と、そこに住む人々と一体になって成り立っている。

私たちIT業界は「クラウド化」「グローバル化」を進めてきました。どこにいても同じ仕事ができるように。でも酪農は違う。その土地でしかできない仕事です。

だからこそ、一度失われると取り戻すのが困難なんです。システムはバックアップから復旧できますが、地域文化は簡単には復活しません。

士幌町のIoT推進、中標津町の条例制定、標津町のヘルパー制度──これらはバラバラの取り組みに見えますが、実は全部つながっている。地域を支える「システム」の一部なんです。

これからの地方は、こういう複合的なアプローチが必要になると思います。一つの施策だけでは効果が限定的。複数の施策を組み合わせて、相乗効果を狙う。

私たちにできること

コンビニで牛乳を買うとき、産地を確認していますか?私は最近、意識的に北海道産を選ぶようにしています。微々たる貢献かもしれませんが、消費者として意思表示はできる。

ふるさと納税も活用しています。中標津町の「なかしべつ牛乳」を返礼品でもらって、家族で「牛乳で乾杯」をやってみました。家内には「何やってるの?」と笑われましたが、これも地域支援の一つです。

でも一番大切なのは、この問題を知ることだと思います。酪農の現状、地方の課題、私たちにできる支援方法──知らなければ、行動のしようがありません。

システムエンジニアとして40年、地方出身者として60年。データと向き合い、故郷を想う一人の人間として、この問題は他人事ではありません。

酪農が消えれば、確実に地方は死にます。でも逆に言えば、酪農を支えることができれば、地方には希望があるということです。

技術の力、制度の力、そして何より私たち一人ひとりの力で、この流れを変えていけると信じています。還暦を過ぎてから、こんなことを考えるようになるなんて、自分でも意外ですが──

今回、参考にしたサイト
地方版IoT推進ラボの窓口一覧
士幌町IoT推進ラボ(PDF)
北海道のIoTを知っていますか?
地域のIoTビジネス創出支援(IPA)
「地方版IoT推進ラボ」を活用しよう
全国の地域ラボ一覧
北海道士幌町基本計画(PDF)
士幌町 地方創生「推進交付金」事業の検証(PDF)
中標津町牛乳消費拡大応援条例(Wikipedia)
中標津町公式「牛乳で乾杯条例」ページ
全国初の『牛乳で乾杯条例』制定10周年と地域ブランド化
牛乳で乾杯の町!中標津町
北海道中標津町 牛乳で乾杯条例10周年記念事業
標津で農業始めませんか?(標津町農業協同組合)
搾乳や給餌以外の業務に取り組んでいる酪農ヘルパー利用事例(PDF)
酪農ヘルパーの朝(農林水産省)
有限会社ファム・エイ(酪農ヘルパー)


桜田泰憲(さくらだ・やすのり)
1964年6月生まれ、北海道目梨郡羅臼町出身。石油関係会社で現場業務を務める傍ら、webライターとして5年間活動。同僚レポーター・mikuの取材協力を得て、地方問題を中心に執筆活動を展開中。

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稲庭うどんの“切れ端”で人生観が変わった話──騙されたけど得した家族の食/卓

家族がテーブルを囲み、稲庭うどんと天ぷらを楽しみながら笑顔で食事している様子。中央に「稲庭うどん切れ端で人生観変化」という文字が表示されている。
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桜田泰憲です。最初に言っておきますが、今回は完全に騙されました。いや、騙されたというか、勝手に勘違いしていたというか。

事の発端は2月の秋田出張です。あるレポート取材で湯沢市に行ったんですが、帰りに同僚のmikuが「道の駅に寄ろう」と。正直、道の駅なんてどこも同じだろうと思ってました。ところが。

稲庭うどんの正規品が並ぶ棚の横に、なんだかよくわからない袋詰めのうどんが山積み。値札を見て二度見しました。「稲庭うどん切れ端 1kg 980円」。

は?稲庭うどんって、北海道のデパートだと小さな箱で3000円くらいするあれでしょう?それが1キロで980円?しかも「切れ端」って何だよ。

疑心暗鬼で買って帰ったら

mikuは「絶対美味しい」と2袋買ってましたが、私は1袋だけもらいました。だって怪しすぎるでしょう。偽物じゃないかとすら思いました。

帰宅して家族に見せたら「えー、こんなバラバラの麺で大丈夫?」。従妹(介護士)は「なんか貧乏くさい」。母に至っては「またお前の変な土産か」。違うって💦

家族の視線が冷たい中、恐る恐る茹でてみました。茹で時間もバラバラの長さだからよくわからない。適当に4分くらいで上げて、普通のめんつゆで食べてみたんです。

これが、うまい。

いや、うまいなんてもんじゃない。完全に稲庭うどんです。あの独特のコシ、つるつる感、上品な味。むしろ短い麺は食べやすくて、長い麺はしっかり咀嚼できて、バラエティに富んでいるのが良い。

従妹も「これ本当に稲庭うどん?」、妹も「普通にうまいじゃん」、母は黙々と大盛りをおかわり。

調べてみたら、もっと驚いた

システム屋の性分で、帰宅後にネットで徹底的に調べました。

そもそも稲庭うどんの製造工程で、どうしても端の部分や不揃いな部分が出る。昔はこれを廃棄していたが、もったいないということで商品化したのが「切れ端」。原材料も製法も正規品と同じ。違うのは長さと太さが不揃いなだけ。

価格を調べると:

      価格比較
 
  • 正規品(300g): 2500円前後 → 1kgあたり約8300円
  • 切れ端(1kg): 1000円前後

つまり8分の1の値段。これ、おかしくないですか?

北海道の感覚で言うと

北海道にいると、稲庭うどんって「本州の高級品」なんですよ。お中元やお歳暮でもらう特別なもの。年に2〜3回食べられればいい方。

それが突然、普通のうどんより安い値段で食べられる。感覚的には、函館の高級海鮮丼が300円で食べられるようなもんです。

でも考えてみれば、北海道だって規格外の海産物を安く売ってるじゃないですか。形の悪いホタテ、小さなカニ、色の悪いイクラ。味は正規品と変わらないのに、見た目だけで値段が全然違う。

稲庭うどんの切れ端も同じ構造なんだなと。

家計への影響が予想以上

我が家、麺類の消費量がけっこう多いんです。従妹は食べ盛りだし、私も夜食によくうどん食べるし。

従来の買い物:

   
うどん代の内訳(目安)
  • 冷凍うどん(5玉入り)×週2回 = 月8パック = 約2400円
  • たまに生麺や乾麺 = 月1000円程度
  • 合計:月3400円くらい

切れ端うどんに変後:

 
切れ端1kg = 1000円で約10食分
月3kg = 3000円で約30食分

単純計算で月400円の節約。たった400円?と思うかもしれませんが、年間4800円、10年で48000円。塵も積もればです。

しかも味は明らかに向上。家族の満足度も上がってる。これはコスパが良すぎる。

ただし、問題もある

良いことばかりじゃありません。実際に使ってみて気づいた問題点:

切れ端うどんの4つの問題点

家庭でよくある困りごと

 
 
 
 
 
 
 
 

長さが不揃いなうどんのイメージ

1

茹で時間がわからない

長さがバラバラだから、短いのは早く茹で上がるし、長いのは時間がかかる。適当にやるしかない。

 
2

見栄えが悪い

来客時には使いにくい。やっぱり見た目が統一されてないと、料理の写真も映えない。

 
3

保存が大変

1kgの袋が大きくて、キッチンの収納に困る。小分けパックの方が使いやすいんだけど、そうするとコスパが落ちる。

 
4

茹で加減の調整が難しい

家族それぞれ好みの硬さが違うんですが、長さがバラバラだと調整が困難。

 

で、結局どうなったか

3か月経った現在、我が家では切れ端うどんが完全に定着しました。

週2〜3回は夕食に登場。私の夜食もこれ。休日の昼食も基本これ。もう普通のうどんに戻る気がしません。

従妹も最初は「貧乏くさい」と言ってましたが、今では「これでいいじゃない、味は変わらないんだから」。妹は友達に話して、その友達の家でも買うようになったとか。母は相変わらず何も言いませんが、おかわりの頻度が明らかに増えました。

和室の食卓で家族がうどんを囲み、笑顔で会話しながら食事を楽しんでいる様子。
和やかな雰囲気の中、家族みんなで温かいうどんを囲み、笑顔で食卓を囲むひととき。AIが描いたイメージです。

騙されて良かった、の意味

最初「騙された」と思ったのは、勝手な先入観からでした。

   
よくある思い込み
  • 「安いものは質が悪い」
  • 「見た目が悪いものは味も悪い」

という思い込み。

でも実際は、製造業の構造的な問題で生まれた「もったいない商品」だった。味も品質も正規品と同じなのに、見た目だけで価格が8分の1

これって、日本全体で考えると巨大な無駄ですよね。形が不揃いというだけで廃棄される食品がどれだけあるか。それを商品化すれば、消費者は安く良いものが買えて、生産者は廃棄コストが削減できて、環境にも優しい。

稲庭うどんの切れ端は、その象徴的な成功例なんじゃないかと思います。

騙されて良かった。いや、騙されたんじゃなくて、勝手に思い込んでただけ。60歳にもなって、まだまだ知らないことだらけです。

今回、mikuからもらった稲庭うどん。他にも「切れ端」みたいな商品がないか、探してみるつもりです。きっと全国にはまだまだ隠れた逸品があるはず。先入観を捨てて、本当の価値を見極める目を養いたいと思います。

筆者:桜田 泰憲

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