60歳の僕が震えた「AI社会の現実」:あの日、世界が変わった瞬間

夜の都会を背景に、年配の男性と人型AIロボットがテーブル越しに向かい合って会話をしている。周囲にはホログラム風のデジタルグラフが表示され、未来的な雰囲気。

はじめに – あの日、私の世界が変わった

先日、会社の若い同僚が「桜田さん、これ見てください!」と駆け寄ってきた。画面には、たった8秒の動画が流れている。風景写真から自動生成された、まるで映画のような映像だった。

GoogleのVeo 3っていう技術なんです。写真一枚あれば動画が作れちゃうんですよ!

正直、言葉が出なかった。システムエンジニアとして30年以上働いてきた私でも、これほどの衝撃を受けたことはない。2025年7月の今、AIは完全に次元の違う存在になってしまった。

Google Veo 3の詳細情報技術解説記事によると、Veo 3は2025年5月に発表された最新の動画生成AIで、写真一枚から8秒間の音声付き動画を生成できる革新的な技術です。

Claudeとの初対面 – これは本物のパートナーだ

男性が真剣な表情で女性と向き合って話しているシーン。「Claude」と「Claude hove mesting」という字幕が表示されている。
クロードという男性が女性と向き合い、静かな会話をしている印象的なシーンです。画面下には字幕が表示されています。AIが描いたイメージです。

まずはClaudeのIntegrationsを試してみませんか?

同僚のmiku(みく)がそう提案してきたのは、5月のことだ。彼女は全国を飛び回って最新のAI事情を取材している、社内でも評判のレポーターだ。

AnthropicがClaudeのIntegrations機能を5月2日に正式発表したという話を聞いて、正直なところ、最初は半信半疑だった。「またAIの宣伝か」という気持ちもあった。しかし、実際にNotionと連携させてプロジェクト管理をやらせてみると、これまでのAIとは明らかに違った。

何が違うかって?Claudeは私の仕事の流れを理解している。単発の作業ではなく、「次に何をすべきか」「全体最適のためには何が必要か」を判断して提案してくる。30年のエンジニア経験で培った直感だが、これは本物だ。

ChatGPTとの決定的な違いは、MCPプロトコルによる「状況把握型AI」としての能力にある。私がシステム設計で最も重視する「全体最適」を、AIが理解してくれる時代になったのだ。

LINEヤフーの衝撃決断 – これが新常識だ

全社員1.1万人にChatGPT Enterprise支給

このニュースを聞いたとき、正直「やりすぎじゃないか?」と思った。しかし、詳細を調べてみると、これは単なる話題作りではない。本気の変革だった。

「まずAIに聞く」「ゼロベースで資料を作らない」「議事録はAI作成」

これらのルールを義務化し、eラーニングでプロンプト研修まで実施している。私たちのような中小企業には真似できない規模だが、考え方は参考になる。

実際、我が社でも社内文書テンプレートをClaudeに作らせてみたところ、これまで各部署でバラバラだった書式が統一された。書類作成の属人化という、長年の課題が一気に解決したのだ。

孫正義の野望 – 本当に実現可能なのか?

AIエージェント10億体計画

ソフトバンクの孫正義氏がぶち上げたこの構想には、正直面食らった。社員1人に1000体のAI、年間コスト450円で人間の1万6000分の1の費用で4倍の生産性

数字だけ見ると荒唐無稽に思える。しかし、私が実際にClaudeやChatGPTを使ってみた実感から言うと、あながち不可能ではない。

「AIがAIを増殖・進化させる時代が始まった」

孫氏のこの発言は、プログラマーとしての私には特に印象深い。確かに、ノーコード社会の実現は、もう目の前まで来ている。私が若い頃に必死に覚えたプログラミング言語も、いずれ不要になるのかもしれない。

故郷を思う – 地方創生の新たな可能性

私の故郷は北海道の羅臼町だ。人口減少と高齢化が深刻で、若者は次々と本州へ出て行く。そんな町でも、AIが希望の光になるかもしれない。

地域おこし協力隊がAIを活用して一人で複数業務をこなしている事例を見ると、可能性を感じずにはいられない。事業計画から動画編集まで、AIがあれば本当に可能なのだ。

実際の成功例もある:

福井県鯖江市 – 議会答弁要約にAIチャットボット導入
岐阜県高山市 – 観光案内にChatGPT実装

これらの自治体は、住民サービスの質向上と行政コスト削減を両立させている。羅臼町でも、ぜひ検討してもらいたい。

Gmailの進化 – 高齢者を救う小さな親切(ただし日本はまだ)

「Manage subscriptions」

Gmailの新機能の名前だが、60歳の私には特にありがたい機能だ。購読中のメルマガが一覧で表示され、ワンクリックで解除できる。

ただし、残念ながら現時点では日本ではまだ利用できない7月8日から一部の国と地域で提供開始されたが、日本は第1弾に含まれていないのだ。

実は私、不要なメルマガの解除方法がわからず、長年受信し続けていたものがいくつもある。この機能が日本でも使えるようになれば、ようやくスッキリできそうだ。

Googleの発表によると、AIで詐欺メールを35%削減しているという。特に高齢者や私のようなデジタル苦手組には、この機能が日本でも早く展開されることを願っている。

見えない罠 – ダークパターンとの戦い

「閉じられない広告」「不透明なサブスク契約」

私も何度か騙されそうになった経験がある。一般社団法人ダークパターン対策協会のNDD認定制度は、消費者を守る重要な取り組みだ。

2025年秋に公開予定の「子どもと高齢者向け解説動画」にも期待している。5つのダークパターン事例を図解でまとめた資料は、ぜひ多くの人に見てもらいたい。

ACジャパンの警鐘 – 今こそ必要なメッセージ

フェイクはホンモノみたいな顔をする

ACジャパンの2025年度全国広告のキャッチコピーだが、これほど的確な表現はない。フェイクニュースや誹謗中傷が横行する今、この警鐘は多くの人に届いてほしい。

字幕・手話対応のユニバーサルデザインも素晴らしい。情報格差を生まない配慮は、AI時代にこそ重要だ。

困った表情の男の子のイラストとともに、「フェイクはホンモノみたいな顔をする」「偽物を見分けるのはとても難しいです!」というメッセージ、信頼できる情報源の確認や複数情報の比較、専門家への相談を促す注意事項が書かれている。
フェイク情報に惑わされないための注意点を分かりやすくイラストでまとめた画像です。信頼できる情報源の確認や、複数の情報を比較すること、専門家への相談の重要性を訴えています。AIが描いたイメージです。

教育の未来 – 親子で学ぶAI時代

東京大学の「メタバース工学部ジュニア講座」で、生成AIを親子で学べる無料講座が始まった。将来、私の孫にも受講させたいと思っている。

京都芸術大学の2026年完全オンライン音楽コース開設も興味深い。秋元康氏らが講師を務めるというから本格的だ。

私のような地方出身者には、こうした機会は本当にありがたい。物理的な距離の制約を、AIとオンライン技術が取り払ってくれる。

信頼回復への道 – AI監視システムの可能性

オンライン予約サイト「アゴダ」のトラブル続出問題で、AIによるリアルタイム予約監視システムが導入された。不正業者の事前除外や、カスタマー対応の自動化で信頼性回復を図っている。

私も海外旅行で予約トラブルに遭った経験があるだけに、この取り組みは評価したい。技術は人を騙すためではなく、騙されないために使うべきだ。

おわりに – 60歳の私が見たAI社会の現実

30年以上システム開発に携わってきた私が断言する。AIはもはや「特別なもの」ではない。「仕事を共にする存在」として、私たちの日常に完全に溶け込んでいる。

しかし同時に、フェイク・詐欺・格差といった新たな課題も生まれている。私たちは技術を使いこなすリテラシーと倫理観を育みながら、恐れずに変化と向き合わなければならない。

60歳の私でもAIとパートナーシップを築けている。年齢や職業、住む場所に関係なく、誰もがAI時代の主役になれる。

それが、私がこのコラムで最も伝えたかったメッセージだ。変化を恐れず、好奇心を持って新しい技術と向き合おう。そこには、きっと新しい可能性が待っている。

プロフィール
桜田泰憲(さくらだ・やすのり)

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